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日本と海外の色編集の違いとは?映像制作における照明と色の奥深い役割

May 19, 2024
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映像を通じて視聴者にメッセージを伝える要素は、単にカメラワークや出演者の演技だけではありません。
実は私たちが観ている日本や海外のテレビ番組・映画は、撮影した映像に意図的に色味の編集を加えています。

映像全体にかける色や差し込む色を変えると、「暖かい」「冷たい」などさまざまな感情を喚起させ、視聴者に特定の印象を与えることが可能です。
また編集時に限らず、撮影時の照明の使い方ひとつで、映像にまったく異なる雰囲気を持たせることも可能です。

色編集を通じて、映像が視聴者の感情に訴えかけるよう工夫を凝らすのは、映像制作の面白い点といえるでしょう。

本記事では、映像制作における照明と色の役割、さらに日本と海外の作品で見られる傾向の違いや、色が視聴者に与える印象について解説します。


日本と海外では撮影時の照明がちがう

映像制作において、照明は作品の雰囲気を大きく左右します。
特に日本と海外の映像作品を比較すると、照明のあて方違いは顕著です。

日本の映像制作においては、蛍光灯のような青白い照明が一般的です。
テレビのスタジオで撮影されたバラエティ番組やニュース番組だとわかりやすいでしょう。

例えば、バラエティでひな壇を使った番組を想像してみてください。
ひな壇では全体を明るく照らすために、正面からはっきりとあてるような照明を使い、コントラストが強い映像を生み出しています。

また日本の映画業界では、撮影と照明のスタッフが異なり、照明の雰囲気をそこまで細かく変えない点も特徴的です。
映画はワンカットごとに細かく撮影する必要がありますが、このカットごとに照明を変えていては時間がかかるだけでなく、映像ごとを違和感なく繋ぐことも難しくなります。
そのため日本ではコストをおさえるために、全体的に明るくするようにしているのです。

このように日本の映像制作における照明は、全体を照らす明るい光によって、コントラストが強く、全体的に統一された印象の映像を生み出しています。

その一方で、海外の映像制作における照明のスタイルは、日本とは大きく異なります。

日本同様にバラエティ番組の照明を例にとると、その違いがよく分かるでしょう。
海外のバラエティ番組では、スタジオの照明が日本よりも暗めに設定されていることが多いです。

照明は壁に埋め込まれたライトや間接照明が一般的で、色味に関しても赤や黄色を帯びた暖かみのある色が好まれます。
また日本の番組がひな壇形式で多くの人を明るく照らしているのに対し、海外の番組ではそこまで出演者が多くなく、それぞれの人物に細かくライトを当てることが多いです。

さらにハリウッド映画では、照明は映画の雰囲気を大きく左右する要素となり、より一層こだわりを感じられるポイントになります。
ハリウッドでは日本と違い、監督自身が照明の細部まで決めて、ワンカットごとに影の使い方を調整するのが一般的です。

もちろん細かな調整の時間や人件費、照明機材を必要としますが、それを実現するための制作費用があることも特徴でしょう。
ハリウッド映画のような照明の使い方は、映像に深みとドラマティックな雰囲気を与え、観る人にワンカットごとに強い印象を残します。

海外の映像制作における照明の特徴は、日本と比較すると、より暗くコントラストが弱い傾向にあり、影の表現に重きを置いたものといえるでしょう。




映像の色味を編集して意味をもたせる

次に、編集によって加えられる色の意味についても解説していきましょう。

映像制作の過程において、撮影された映像の色味をあとから編集し、作品に深い意味や感情を込めることは非常に重要な作業です。
ここでは映像編集におけるふたつの重要な工程、カラーコレクションとカラーグレーティングを説明します。


カラーコレクションとは

カラーコレクションとは、撮影された映像をまずは肉眼で見た世界に近づくように調整する編集工程です。

実際の撮影現場では、照明の種類や角度、自然光の影響、カメラの設定、撮影環境の色彩、反射物の性質などさまざまな要因によって、肉眼と映像の色が変わってしまうことがあるでしょう。
そこでカラーコレクションでは、映像の色が変わったことで起こる色のズレを修正し、より現実に近い色彩を再現します。

具体的に行う編集は、コントラストや彩度、ホワイトバランス、露出などの調整です。
例えば映像のなかで明るすぎる部分を暗くしたり、色が薄い部分に彩度を加えることで、全体の質を高め、視聴者から見てより現実に近い映像を作り上げていきます。

カラーグレーティングとは

カラーグレーディングはカラーコレクションのあとに行われる作業で、映像の印象やメッセージを工夫するための重要な編集工程です。

カラーグレーディングでは、映像にどんな色味を加えるかが鍵となります。
例えば映像に暖かみのある色調を加えることで、安心感や親しみやすさを表現できるでしょう。
青みが強い色を強調することで、寂しさや孤独感を演出することが可能です。
このように、映像にどんな色味を加えるかは映像全体の印象を大きく左右します。

カラーグレーディングは映像全体に対して行うこともあれば、特定のシーンや画面の一部に対してのみ行うこともあります。
この非常に細かな調整が、映像を通してメッセージを伝えたい時や視聴者の感情を動かしたい時に意味をもつのです。




照明や色編集の違いがもたらす印象

それでは、具体的にそれぞれの色はどのような印象をもたらすのでしょうか。
ここからは赤、オレンジ、黄色、青、緑、ピンク、白といった色が映像にどのような効果をもたらすのか紹介していきます。

赤が強いと美味しそうに

映像に赤い色調をかけると、食べものをより魅力的で美味しそうに見せることができます。
そのため食品の映像を制作する際には、赤味を強調するように照明・色の調整が行われることが多いです。
具体的には、ホワイトバランスをアンバー(赤)寄りに調整することで、料理や食材の色彩をより豊かで魅力的に見せています。

食品を映す以外でも、映像に全体的に赤い色調をかけることで、暖かさや親しみやすさ、安心感を与えられます。


オレンジや黄色が強いと元気そうに

オレンジや黄色は、活気やハツラツさを象徴する色なので、映像に取り入れることでエネルギッシュでポジティブな雰囲気を演出できます。

例えば『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のような映画は、全編を通して黄色の強い色調を用いることで、砂漠の厳しい環境や登場人物たちの力強さ、映画全体のダイナミックな雰囲気を表現しているといえるでしょう。

こういった色の使い方は、映画だけでなく、コマーシャルやミュージックビデオなどさまざまな映像作品で見られ、視聴者に活力と勢いを感じさせる効果があります。


青が強いと冷たそうに

青が強調された映像は、視覚的に冷たく感じられるため、厳しい環境や無機質なシーン、堅苦しい雰囲気を表現するのに適しています。
また青色は硬質感や重厚さを演出するためにも用いられ、宇宙映画やSF映画などでは青みがかった色調の表現が多く見られます。

例えば『インターステラー』のようなSF映画では、映像全体に青色の効果を使って、未来的で未知の領域を探求するイメージを印象付けています。
さらに合間で空や海、地球のシーンを盛り込むことでも、青の要素を加えられるでしょう。


緑が強いとミステリアスに

緑色は青と似ているものの、青とはまた違った独特の雰囲気をもたらします。
映像に緑色を強調して使うと、謎めいた感じや不思議な雰囲気を作り出せるため、特にサスペンス要素を含む作品や、人間以外のキャラクターが登場するシーンにおいて効果的です。

例えば映画『エイリアン』のように、異星人や超自然的なキャラクターが登場する映像に緑色を用いることで、その存在の不思議さや異質さを強調できるでしょう。
また緑色がはっきりと強調された森のシーンは、ただの自然の風景ではなく、なにか秘密を隠しているかのようなミステリアスな印象を与えます。


ピンクが強いと絵本みたいに

全体的にピンクが強い映像は、ポップで絵本のような、場合によってはファンタジックな印象を生み出します。
ピンクは視聴者に楽しさと可愛らしさを感じさせ、物語の魔法のような要素を強調する効果があるのです。
例えば『グランド・ブダペスト・ホテル』や『タイピスト』のような映画では、ピンクの使い方が唯一無二の雰囲気を作り出しています。

またピンク色にはさまざまなバリエーションがあり、明るいピンクではなく、くすんだピンクを選ぶことで、映像にヴィンテージな雰囲気をもたらすことも可能です。
このように色の選択ひとつで、映像の時代やスタイルの雰囲気が大きく変わり、視聴者に与える印象が異なってきます。


白が強いと静かに

特定の色を強調するのではなく、映像全体を白っぽくすることで、静けさや神聖さ、緊張感を演出することが可能です。
例えば映画では教会などの厳粛で神聖なシーン、人が亡くなって光に包まれるシーンなどで用いられることが多いです。

また映像を白っぽくすることで、過去の回想シーンや思い出の描写といったイメージをつけることもできます。
映像全体におぼろげなぼんやりとした印象を与えることで、過ぎ去った時間や遠い記憶を表現できるでしょう。
この手法は、映像に夢のような非現実的な雰囲気をもたらし、視聴者の感情や想像力を刺激します。




まとめ

この記事では、映像制作における照明と色編集がどのように視聴者の印象に影響を与えるか詳しく解説しました。

もっとも重要なポイントは、映像における色の使い方が視聴者に与える印象やに深く影響を与えることです。
色は映像の雰囲気を形づくる上で重要な役割を担っており、特に赤、青、緑、ピンク、白など特徴的な色は、それぞれ異なる感情を呼び起こします。

映像制作における照明と色の使い方を理解して、映像の雰囲気に工夫を凝らしてみましょう!

映像制作においてこれらの要素を最大限に活かすために、専門の映像制作会社に依頼するのも一つの手段です。プロの技術と経験を活用することで、より効果的な映像を制作することができます。



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